カンボジア:パイリンの宝石掘り

カンボジアの西側、タイとの国境に隣接するパイリン州はポル・ポト派が政府に参加する1997年までその活動拠点となっていた場所である。良質のサファイアやルビーが産出されたが、ポル・ポト政権時代にその多くが武器を買うために中国やタイに売られた。

 今なお、多くの元クメール・ルージュ兵がそこに住んでいる。そして、彼らや宝石ハンターとしてやってきた者が残り少ない埋蔵量の宝石を探している。現在は政府が採掘を管理しており,そうした者は政府の監視の目を盗んで細々と採掘している。そのため、山に入る時は草の茂みに入って行き、そこで身を隠すように作業をする。

 その生活は厳しい。何日もかけて探した宝石がたまると、街の宝石商にそれを売りにいく。幸運にも良いものを探し当てれば、生活に充分な稼ぎとなるが、ほとんどの場合、数ドルの稼ぎにしかならない。

 今まで採掘を糧として生活してきた者も、農業をしたり,建設現場で働いたり,違う仕事についている者も多い。しかし,彼らも今の仕事がなくなれば、いつでも宝石をまた探すという。

 

 パイリンにはおよそ40の宝石商があるといわれている。それぞれの店は数人の作業員で構成されている。多くてもその数は5人に満たない。原石は3回の磨きの行程を経て店頭へと出される。最も人気があり、高価なものはブルーサファイアで、千ドル以上の値を付けることもあるという。

 「客の多くは旅行者、特にヨーロッパからの旅行者が多い。その数は近年増えているが、経営を維持していくのは難しい」と宝石商の店主のバラン(19歳)は憂いを帯びた表情で語った。(2006年)

 

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