Don’t forget us! 「僕たちのことを忘れないで!」
寂しげな瞳で遠くを見つめ、ケビンはつぶやいた。彼は両親を病気で失い、今は妹を食べさせるために毎日ゴミを集めて暮らしている。両親が生きていたころは学校に通うことができた。だが、今は生き抜くことがなによりも優先される。住む家もなく、一日ゴミ集めをした後、わずかな食事を口にし、他人の家の軒下でその疲れきった体を休める。
ダンドラはコロゴチョスラムに隣接するケニア最大で唯一政府が許可しているゴミ集積場だ。28ヘクタールにも及ぶゴミの山には毎日2000トンものゴミが運ばれる。生ゴミやプラステック類、金属などありとあらゆるゴミがトラックで次々に運ばれてくる。
それらは腐敗し、悪臭とガスを放ち、自然発火し、煙をあちこちと立ち上げる。そして、汚水はナイロビ川へと流れ出し、水源を汚している。ここで働く人々は気管支炎や重金属汚染などの病気におかされる確率が非常に高い。
ケニアの首都、ナイロビには大小合わせて80近くのスラムが存在する。市内の人口の約半数が実はこのスラムに住んでいる。しかし、国はスラムに住む住民が違法移住者であることから、水、電気といったライフラインも学校も提供していない。スラムに住む多くの人々が政府の支援も得られず、仕事にありつくこともできないでいる。人々は満足な食事をとれないばかりでなく、安全な水にアクセスすることもできない。
そのため、ダンドラでは3000家族ほどが過酷なゴミ収集の仕事で生計をたてている。その中には大人に交じって、多くの子供が働いている。仕事にありつくのが難しいスラムの住人にとって、子供は貴重な労働力となる。
国からの支援もなく子供たちは家族を助けるために、不衛生な環境のもとで働くことしかできない。一日働いて、100ケニアシリング、120円ほどを手にする。それが家族を助ける貴重な収入となる。
5歳くらいからゴミの山へと入り、素手で金属やプラステックなど、お金になるゴミをかき分ける。そして、ペットボトルの底に残ったジュースや残飯が空腹をしのぐ食料となる。
管理人のアンドレはそれでも、ダンドラで働く人の数は減ってきているという。ナイロビ周辺では政府未公認のゴミ集積場が増えているからだという。(2009年)
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